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フォークランド紛争とイギリス(2)

2012.03.27 11:35 | カテゴリなし | 投稿者:根本秀節

 秀節は、4月2までに各紙がフォークランド紛争の特集を組むのではないかと考えて、探してみた。その中の一つは、興味あるものである。3月22日付の「テレグラフ紙(デジタル版)」によると、イギリスは、1982年の5月21日にハーキュリーズ輸送機にSAS(Special Air Service:イギリス陸軍特殊空挺部隊)を乗せ、アルゼンチンの空軍基地を急襲するという「ミカド作戦(Operation Mikado)」を計画したという。秀節は記事を読みながら、その作戦のイメージを膨らませてみた。
 1982年5月21日の早朝、2機のC130ハーキュリーズ輸送機が飛行していた。眼下の大西洋は大きな白波が立ち、荒れた空模様である。地上レーダーの探知を避けるようにして、海上から50~100フィート(1フィートは30.48㎝)ですれすれに飛行していた。副操縦士は、米軍から極秘提供された赤外線暗視ゴーグルを使って操縦士をガイドしていた。グリーン色の計器の光に照らされた彼らの顔は、死人のようにこわばっていた。アセンション諸島から2回の空中給油を経て、13時間の飛行である。クルーの背後には60人ほどのSAS隊員が両サイドに座り、点在するオレンジ色のライトの下で、武器を抱えて、誰一人話をする者もいない。飛行機の騒音と振動に身をまかせてじっとしている。さらに、彼らの後ろには、武器を装備したランドローバーが並んでいた。
 レーダー探知をくぐり抜けたC130の操縦席の前方には、目的地の滑走路が見えてきた。操縦士はゆっくりと操縦かんを前に倒して、着地態勢に入った。後方ではハッチを開く金属的な音が聞こえた。C130は大きな音を立てて滑走路に着地し、減速しながら滑走していく。滑走路をこすりながら火花を散らしている背面ハッチから、ランドローバーが飛び出していく。次々と、ランドローバーは、フランス製シュペルエタンダール攻撃機に突撃する。他のSAS隊員は、フランス製ミサイル・イグゾゼを捕獲または破壊するための捜索が続く。爆破音、砲撃、混乱……20分から30分で作戦終了。
 フォークランド紛争で、イギリス海軍にとって大きな脅威となっていたフランス製ミサイル・エグゾゼを破壊することが急務とされていた時期である。4月19日にアルゼンチンがリオ・グランデ空軍基地にエグゾゼを搭載したシュペルエタンダール攻撃機4機を配備した。5月4日、リオ・グランデ空軍基地から飛び立った2機の攻撃機の発射したエグゾゼの1発によって、イギリス海軍が誇る最新鋭艦の駆逐艦「シェフィールド」が撃沈された。
 そのような戦況の中で「みかど作戦」は立案されたのである。冒頭でイメージした作戦は、次第に変更され、C130は太平洋上のイースター島、その後、チリ本土に基地を置いて、着々と準備がすすめられた。しかし、5月17日、友好国チリからのリオ・グランデ空軍基地の偵察任務が突然中止され、作戦に消極的だったSAS部隊長は解任された。この奇襲作戦は、作戦終了後、チリ経由で脱出しなければならないという、片道切符の自殺的な任務であることなどから、結局、実行されなかった。その後、作戦の全容を知る4名はかたく口を閉ざしてきたが、そのうちの1名が本を出版して「ミカド作戦」の全容が明らかになったのである。退役した元部隊長は言う。「作戦中止の決定は正しかった」(続く……)

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