TOP > 管理栄養学科 > 大神田 丈二(Okanda’s Office)

プロフィール
専門は英米文学です。とくに20世紀の小説作品を研究しています。担当している科目は、文学、英語です。好きなことは、読書、オートバイツーリング、カメラ(デジタルカメラ、銀塩カメラ)、音楽鑑賞(クラシック、英米のロック、アイルランドの民俗音楽etc.)などです。研究室は40号館4Fにあります。気軽に遊びに来てください。

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談社文芸文庫を救出する会99ー『当世凡人伝』、『雨の音』、『奈良登大...

2008.11.05 02:06 | 講談社文芸文庫を救出する会

 友人たちともう10年以上電脳Hikin’ Clubなる句会をやっている。その同人の一人が最近デジタルカメラを購入したというので、もう一人のカメラ好きも誘って撮影会をすることになった。時はまさに紅葉の季節だ。また新そばが旨い季節でもある。そうだ、秩父へ行こう、ということになったのは、秩父にはこいけというそばの名店があるからで、また、足を伸ばせば紅葉の美しい雁坂トンネルがあるからだ。
 秩父に着くと、...

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談社文芸文庫を救出する会98ー『青春ピカソ』、『夜ふけと梅の花​​/...

2008.11.01 00:37 | 講談社文芸文庫を救出する会

 ある日、法事があって多磨霊園へ行ったときのことであるが、お坊さんの到着を待つ間に霊園内を散策していると、岡本一平、かの子、太郎の墓があった。一平の墓石は通常の墓石だったが、かの子のは観音像で、二基は並んでおり、両親の墓石と半ば向き合うように、太郎の墓石があった。墓石といっても、例の太陽の塔のようなオブジェで、多磨霊園には多少そぐわないとはいえ、いかにも岡本太郎らしく、もしも父親一平のと同じような...

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談社文芸文庫を救出する会97ー『落城・足摺岬』、『袋小路の休日

2008.10.30 00:04 | 講談社文芸文庫を救出する会

 朝起きると、空には見事なうろこ雲が広がっている。風もひんやりさわやかだ。こんな日の通勤はオートバイに限る。紅葉にはまだ早いけれども、色づきかけた山々をながめながら走ろう。
 圏央道の八王子西インターから中央道の上野原まで高速を利用し、上野原からは国道20号線を走る。上野原から大月までの、桂川の深い渓谷に沿って続く国道の風景は、長い国道20号線にあって白眉といえるだろう。鳥沢辺りの宿場町のたたずまい...

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談社文芸文庫を救出する会96ー『火星の笛吹き』、『野菊の墓』

2008.10.28 02:35 | 講談社文芸文庫を救出する会

 夜、猫の缶詰をスーパーに買いに行った帰りに、古本のチェーン店に立ち寄る。秋も次第に深まり、だいぶ涼しくなったこともあって、店内に客の姿はまばらである。
 めずらしく鰍沢出身の芦澤一洋さんの文庫が3冊あった。1冊は105円の棚にあったのでよほど買おうと思ったが、芦澤さんの未亡人に贈呈して頂いたのがあるので購入はやめた。ただし、あまり買い手がなければいつか買うことにしよう。
 未亡人から贈呈して頂いたの...

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談社文芸文庫を救出する会95ー『尾崎放哉句集』、『かげろうの日記遺文...

2008.10.26 00:17 | 講談社文芸文庫を救出する会

 久しぶりに散髪した。頭が軽くなったら散歩をしたくなった。天気はいまひとつさえないが、床屋からの帰途、秋の草花でも撮影しようと、町の郊外へ出てみた。時刻は午後3時を少し回ったぐらいだが、昨夜の雨で地面はしっとり濡れており、もう黄昏のような雰囲気だ。コスモスはほとんど見られなくなり、草むらでは目立つのは白い野菊ばかりがだ。畑の中に柿木があり、葉や実がだいぶ色づいてきた。山々はまだ緑が少し色あせたかな...

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談社文芸文庫を救出する会94ー『宮本常一』、『タイヤ』

2008.10.25 02:24 | 講談社文芸文庫を救出する会

 FM甲府のスタジオで収録があった。漫画家つげ義春の旅行記について話したのだが、話しながら、宮本常一などをちゃんと読まなければならないと思った。ぼくがつげ義春の旅行記に感動するのは、旅するつげ義春の後姿に無数の旅人の姿が重なるからなのだが、それら旅人こそまさに宮本常一のいう「忘れられた日本人」なのである。
 そんなことを考えていたら、古本のチェーン店の105円の棚で早速『宮本常一』(ちくま日本文学全...

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談社文芸文庫を救出する会93ー『ビアス怪談集』、『哀歌』、『バスキア...

2008.10.22 02:24 | 講談社文芸文庫を救出する会

 学生時代は金がなかった。正確に言うと、金がなかったというよりも、小遣いと昼食代を月に一回一括してもらっていたのだが、ほとんどが本代に消えたのだ。ひどいときにはその日に、せいぜいもっても1週間ほどでほとんどなくなった。もともと潤沢にもらっていたわけではないから、昼飯代までも本代に回さざるをえなかったのである。だから、昼はほとんど食べなかった。幸いだったのは、家から大学に通っていたことで、昼食は食べ...

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談社文芸文庫を救出する会92ー『論語』、『詩経』、『太田垣蓮月』

2008.10.17 23:22 | 講談社文芸文庫を救出する会

 カメラが趣味で、多いときには週に1000枚前後の写真を撮るが、いまだに露出がどうの、測光方式がどうのという話には弱い。オートバイについても同じことがいえて、地球を3周分するほどツーリングを楽しんだのに、いまだにオートバイのメカには暗い。オイルの交換さえもショップ任せだし、エンジンのことを聞かれても、排気量ぐらいしか答えられない。カメラやオートバイのメカについて詳しくなりたい気持ちがないわけではな...

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談社文芸文庫を救出する会91ー『貧困旅行記』、『文学的人生論』

2008.10.12 23:02 | 講談社文芸文庫を救出する会

 つげ義春の『貧困旅行記』を探しに八王子のブックセンターIに行くと、驚いたことに筑摩書房の日本文学全集全72巻に7000円もしない値札がついていた。悲しいやら情けないやら、何とも複雑な思いにさいなまれたのは、昔、1冊ずつ揃えたときのことを思い出したからだ。
 しかし、悲しいやら情けないやらには裏があって、こうしたわずかの金額で全72巻の日本文学全集が揃ってしまうことが、悲しいやら情けないやらなのであ...

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談社文芸文庫を救出する会90ー『つげ義春とぼく』、『プレオー8の夜明...

2008.10.12 03:16 | 講談社文芸文庫を救出する会

 家人に買物に付き合ってといわれた。買物の付き合いは辛いけれども、その街にはいつもの古本チェーン店ほどではないが、多摩地区に数店のチェーン店を展開している古本屋があるので喜んで付き合うことにした。前にも書いたけれども、FM甲府で旅行記の話をすることになっており、つげ義春の旅行記が早急に必要だったのだ。これも前にも書いたことだけれども、家のどこかにあることはわかっているのだが、探すのが億劫なのである...

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談社文芸文庫を救出する会89ー『舌を噛み切った女』、『幻想博物館』

2008.10.10 02:04 | 講談社文芸文庫を救出する会

 木曜日はツーリングの日と決めていることは以前も書いたかも知れない。雨が降ってなければたいがいどこかへ出かける。しかし、今日は会議だという。それも大事な会議だという。だから一旦諦めたが、あまりにも気持ちのよい秋の一日なので、どこかを走ってから会議に出席することにした。
 道志みちを走ることにした。秋の山道は気持ちよいだろう。それに、2,3日前の新聞に箱根仙石原のススキの写真を見たものだから、山中湖と...

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談社文芸文庫を救出する会88ー『霊長類南へ』、『漂流物』

2008.10.05 21:53 | 講談社文芸文庫を救出する会

 洗濯機が故障して1ヶ月以上経つのにまだ買い替えをしていない。経済的問題というよりも、洗濯機を入れ替えるためには、廊下の本棚などを移動しなければならず、それが気が重いのだ。10年ほど前に冷蔵庫が故障したときには、特別に暑い夏だったこともあり、気が重いの面倒だのと言ってられなくなり、仕方なく本や本棚を移動して壊れた冷蔵庫を運び出し、新品を運び込んだ。昨年は居間にソファを入れることになったが、やはり廊...

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談社文芸文庫を救出する会87ー『大阪の宿』、『無明長夜』

2008.09.28 20:29 | 講談社文芸文庫を救出する会

 昨日はさわやかな秋の一日だったが、今日は灰色の雲が空一面を多い、晩秋のように気温が下がってしまった。午後、写真散歩に出かけたが、半袖のシャツしか着てこなかったことをすぐに後悔した。しかし、家にもどるのも面倒で、歩いているうちに暖かくなるだろうと思っていたら、とんでもなかった。
 昨日に続いて浅川の土手に出る。人影はまばらである。川の風景などを撮影しながら上流に向かって歩く。カモたちにパンくずを投げ...

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談社文芸文庫を救出する会86ー『成熟と喪失』、『ブリューゲルへの旅』

2008.09.28 02:22 | 講談社文芸文庫を救出する会

 暑さ寒さも彼岸までというが、今年は彼岸の日を境に見事に季節が入れ替わった。夏は異常な猛暑が続いたかと思うと、異常な長雨があったので、秋はどうなることかと思っていたら、彼岸以降はいかにも秋らしいさわやかな日が続いている。こらからも穏やかな秋の日が続けばよいと願うが、最近のことだから油断はできない。
 今日は朝、空気がひんやりと気持ちよく、散歩写真日和だったので外出した。八王子駅近くのYカメラに用事が...

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談社文芸文庫を救出する会85ー『レキシントンの幽霊』、『愛と苦悩の手...

2008.09.26 22:41 | 講談社文芸文庫を救出する会

 洗濯機が故障したので、ここ何週間かコインランドリーを利用している。初めてコインランドリーというものを知ったのは一ヶ月ほど下宿生活をしたロンドンで、若い男性が洗濯物ばかりか自分の着ていた服まで洗濯槽に投げ込み、半裸で洗濯が終わるのを待っていたのには驚いた。いや、驚いたというよりも、合理的だと思った。ついでにシャワーがあれば完璧だったろう。
 コインランドリーで洗濯や乾燥が終わるのを待っている人はほと...

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談社文芸文庫を救出する会84ー『南方熊楠コレクション』、『豊饒の海』

2008.09.23 00:32 | 講談社文芸文庫を救出する会

 後期が始まった。初日は、期待と不安、いささかの緊張と興奮、そして、最後には疲労感。帰途の車中では、本を開いても、どこか心ここにあらずで、直前の読んだばかりの箇所をもう忘れている。もう一度段落の最初から読み直すがやはり頭に入ってこない。仕方がないので本を閉じて、車窓の風景を見るともなく見ている。
 高尾駅の改札口を抜けると、スーパーやパン屋や洋品店からもれる光の帯の中を学生や勤め帰りの人たちが急ぎ足...

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談社文芸文庫を救出する会83ー『真空地帯』、『帰らざる夏』

2008.09.20 22:26 | 講談社文芸文庫を救出する会

 8月の後半は雨ばかりの日が続いたものだから、今年初めて台風が関東地方に上陸する恐れがあるというニュースを聞いて、そういえば今夏は台風がなかったなあと初めて気がついた。しかし、今回もまた関東地方に上陸することなく台風は夜半に海上を通り過ぎ、朝起きてみると、雲間に青空はのぞいていたものの、台風一過というには雲ばかり多い空だった。
 午後まで家に閉じこもって仕事をしていたが、気分転換とほとんど日課になっ...

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講談社文芸文庫を救出する会82ー『動物農場』、『すばらしい新世界』

2008.09.19 01:25 | 講談社文芸文庫を救出する会

 台風の影響で天気が悪かったこともあるけれども、朝から何となく憂鬱で何もする気になれず、ましてや外出など思いもよらず、家で猫たちとだらだら過ごしていた。しかし、午後になっても気分は落ち込むばかりで、このままではよろしくないので気分転換に外出することにした。
 まずカメラ店へ行って数日前に現像を頼んでいたモノクロフィルムを受け取りに行った。驚いたことに、カラーフィルムは30分も待てば現像ができるという...

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講談社文芸文庫を救出する会81ー『けものたち・死者の時』、『桜の森の...

2008.09.15 03:37 | 講談社文芸文庫を救出する会

 前日古本のチェーン店に寄ったときに、今日は文庫本が200円均一セールであることを知った。そこで、近くの広い農耕地を散策しながら写真撮影を楽しんだ後で立ち寄ってみた。駐車場が満杯で車が停められないのではないかというのはこちらの勝手な思い込みで、駐車場は半分ほど空いていたが、考えてみれば、たかが文庫本の200円均一セールで大挙して愛書家が殺到するなどということはありえるはずもないのだった。
 まず岩波...

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講談社文芸文庫を救出する会80ー『鈴蛙の呼び声』、『黄金の百合』

2008.09.15 02:40 | 講談社文芸文庫を救出する会

 夜、息子と外食した帰り、中古レコード店へ行こうということになったが、少し遠方なので諦めて、代わりに古本のチェーン店へ行った。土曜日が休みの者にとっては三連休になる初日で、チェーン店は在庫整理のセールスをやるらしく、至る所に、初日は単行本が半額に、2日目は文庫本が200円均一になると張り紙がされていた。明日もまた来店しなければなるまいと思いながら、明日の200円均一の影響のない105円の棚をチェッ...

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講談社文芸文庫を救出する会79ー『照柿』、『赤い殺意』

2008.09.03 00:20 | 講談社文芸文庫を救出する会

 ハードカバーで持っているのに高村薫の『照柿』上下(講談社文庫)をまた買ってしまった。通勤の鞄にはいつも数冊の本を入れておくので、この読み忘れていた小説を今度こそ読むためには、鞄に入れやすい文庫本で欲しかったのだ。
 ぼくの友人たちにも高村ファンは多いが、その一人がまるで宝塚のようだといったので、うまい喩えだなあと感心したことがある。失礼ながら、閨秀作家というのは高村薫に似つかわしくないけれども、登...

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講談社文芸文庫を救出する会78ー『閉ざされた城の中で語る英吉利人』

2008.09.02 03:30 | 講談社文芸文庫を救出する会

 息子が旅に出かけるというので夜8時駅まで車で送った。大島に行くとかで、船が竹芝桟橋から11時すぎに出るのだという。今夏3回目の旅である。最初は北海道、二度目は、『伊豆の踊り子』を読んだものだから修繕寺、そして今度の大島というわけで、若いうちに旅をしろと常日頃薦めてはいるものの、どちらかといえばおとなしい息子の意外な行動力に驚くばかりだ。
 送ったついでにいつもの古本のチェーン店に寄る。駐車場はがら...

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講談社文芸文庫を救出する会77ー『海に帰る日』、『輝く日の宮』

2008.08.31 11:12 | 講談社文芸文庫を救出する会

 アイルランドは第二の故郷だと思っている。なぜそのように思うに至ったかについてはいろいろな理由があるが、初めての外国旅行がアイルランドだったこと、二度目のアイルランド旅行ではかの地の民俗音楽に接してCDのコレクターになったことなどが挙げられよう。しかし、最初のきっかけになったのは、何と言っても、二十世紀英語圏最高の作家ジェイムズ・ジョイスの小説に惹かれてその研究を始めたことだ。ジョイスの小説の舞台...

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講談社文芸文庫を救出する会76ー『将門記』、『決闘・黒衣の僧』

2008.08.30 20:11 | 講談社文芸文庫を救出する会

 蝶の中で何が好きかといえばセセリチョウである。茶色の毛皮に身を包んだ小さな妖精のような姿、大きな黒い丸い目も何ともかわいい。
 晩夏、路傍や畑の隅などに白い韮の花が咲き始めると、セセリチョウが見られるようになる。毎年、何とかその愛らしい姿をとらえようとカメラを首から下げてでかけるのだが、ちょこまかと動き回るし、手ブレが生じてなかなか満足のいく写真が撮れない。
 今年の8月の下旬は雨、雨、雨で撮影を諦...

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講談社文芸文庫を救出する会75ー『朝、上海に立ちつくす』、『夢の島』

2008.08.26 20:28 | 講談社文芸文庫を救出する会

 炎暑の日々が続いたと思ったら、急に気温が下がり、10月末頃のような冷たい雨が降り続いている。暑いよりも涼しい方が体には楽だともいえるが、この急激な変化に体調管理がついていけず、家族はみな風邪気味だし、ぼくも体が怠くてしかたがない。毎日カメラを下げて写真散歩としゃれこんでいたが、こう雨ばかりではどこにも出かける気になれず、運動不足でさらに体調は悪くなるばかりだ。
 しかし、家に閉じこもってばかりでは...

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講談社文芸文庫を救出する会74ー『われらアジアの子』、『はるかな町』

2008.08.25 13:00 | 講談社文芸文庫を救出する会

 三木卓の『われらアジアの子』(集英文庫)と『はるかな町』(同文庫)を買ったのは夏休みが始まろうという頃だった。夏になると、少年期を回想した小説を読みたくなるのはいつものことだが、それは自分自身の少年時代のなつかしい思い出とも通じるからだろう。親や教師、大人たちの目の届かない場所、それはたいてい川原などであったが、終日友だちと遊んでいた濃密にして無軌道な時間の記憶が、何とも甘酸っぱい喪失感とともに...

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講談社文芸文庫を救出する会73ー『イワン・デニーソヴィチの一日』

2008.08.25 01:47 | 講談社文芸文庫を救出する会

 3週間前にノーベル賞作家ソルジェニツインの訃報が伝えられたが、その2,3日前に高尾の文雅堂で講談社文庫の『イワン・デニーソヴィチの一日 マトリョーナの家 ほか一編』が目に留まり購入したのは偶然とはいえ、何か因縁めいたものを感じる。普段は因縁のようなものは信じないが、この場合は、因縁をストレートに信じてソルジェニツインを読んでもよいだろう。
 ソルジェニツインといえば、学生時代に『イワン・デニーソヴ...

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講談社文芸文庫を救出する会72ー高見順『生命の樹』

2008.07.11 22:00 | 講談社文芸文庫を救出する会

 機会があれば高見順を探している。求めよさらば与えられん。読書の神様は読書の虫の願いも聞き届けてくれるようだ。
 カメラを修理に出す必要があり家電量販店に立ち寄ったついでに近くの古本チェーン店をのぞいた。もうかなり揃ったので、テレビタレントをしている娘のエッセイ集ぐらいしか見つからないだろうと思っていたら、まったく期待していなかった『生命の樹』(文春文庫)が見つかった。このような文庫本があることさえ...

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講談社文芸文庫を救出する会71ー中野孝次『苦い夏』、丸谷才一『文章読...

2008.06.28 23:15 | 講談社文芸文庫を救出する会

 夜、雨の中を買い物に出かける。固形の餌しか食べようとしない愛猫グレコのための買い物だ。3匹も猫がいればその餌代も半端ではないが(何しろ猫によって好みがちがう)、夜買い物に出ると必ず古本のチェーン店に立ち寄り、ほとんどが105円の文庫とはいえ、必ず何冊か購入するので、集計すれば本代もかなりの額になっているにちがいない。
 新聞に若者がものを買わなくなったという記事が出ていたが、旅行をしなくなったとい...

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講談社文芸文庫を救出する会70ー京須偕充『圓生の録音室』

2008.06.26 01:52 | 講談社文芸文庫を救出する会

 購入した日にちも違えば、購入した古本屋も違うが、価格はどれも105円であった文庫本が何冊かたまった。雑多な内容だが、どんな文庫を手に入れたか記録しておこう。
 まず京須偕充『圓生の録音室』(中公文庫)。著者はソニー・ミュージック学芸プロデューサーで、圓生のレコードの製作者だったようだが、圓生は紀伊国屋ホールで何十回も噺を聴いたものだから懐かしくて購入した。圓生の噺を途切らせることなくお茶を飲む仕草...

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講談社文芸文庫を救出する会69ー高見順『昭和文学盛衰史』

2008.06.25 01:03 | 講談社文芸文庫を救出する会

 最近高見順の『如何なる星の下に』を読んで、高見順病に罹ってしまった。『如何なる星の下に』は、戦時下の浅草を舞台にした風俗小説ともいうべき小説だが、饒舌体といわれる語り口が魅力的だし、何よりも浅草の街の色彩や匂い、そこに生きる芸人や踊子たちの姿が真に迫っているのである。友人たちの感動を伝えると、何人かはやはり高見順のファンで、さすがに我が友人たちはよく読んでいるし、よく文学というものをわかっている...

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講談社文芸文庫を救出する会68ー伊藤比呂美『日本ノ霊異ナ話』、円地文...

2008.06.17 23:26 | 講談社文芸文庫を救出する会

 仕事帰り高尾の文雅堂に立ち寄ると、店主が「上野原に帰りましたか」という。過日、上野原の実家の裏の畑に8畳の書庫があり、そこに数千冊(数えてないのでもっと多いかも知れないし、少ないのかも知れない)の本を死蔵していることを話したから、言葉は悪いが、引き取ろうとねらっているのだろう。若い頃に夢中になって読んだ本たちだから、そうおいそれとは売る気になれないが、閉め切った書庫に長い間放置しているから、シミ...

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講談社文芸文庫を救出する会67ー筒井康隆『驚愕の曠野』、ヤノーシュ『...

2008.06.03 22:37 | 講談社文芸文庫を救出する会

 梅雨入りである。朝から冷たい雨が降っており、家でだらだら過していたが、夕刻、買い物に出た。買い物はすぐにすんだが、そのまま家に帰るのもつまらないので例によって古本屋のチェーン店をのぞくことにした。
 店内はがらがらである。子どもたちの姿はまったくない。店員たちはここぞとばかり書棚の文庫本を並べ替えている。例によって、一人がアリガトウゴザイマシタと言えば、他の店員たちがこだまのように復誦する。いまだ...

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講談社文芸文庫を救出する会66ービオイ=カサレス『豚の戦記』、ロンゴ...

2008.06.01 02:45 | 講談社文芸文庫を救出する会

 家人に高尾駅まで迎えを頼んだら、今、裏高尾のMさんの所にいる、少し時間がかかるがどこかでコーヒーでも飲みながら待っていて欲しいと言われた。ちょうど文雅堂にいたのでこれ幸いとじっくり書棚を端から見ることにした。
 まず目に留まったのがビオイ=カサレスの『豚の戦記』(集英社文庫)。ビオイ=カサレスはボルヘスとの共作で知られるアルゼンチンの作家である。20世紀後半はラテンアメリカ文学の時代であったが、そ...

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講談社文芸文庫を救出する会65ー『尾崎翠』

2008.05.28 00:02 | 講談社文芸文庫を救出する会

 一時期ある雑誌にイギリスの「マイナークラシック」とぼくが勝手に呼んでいた作家の小説を紹介する文章を連載していたことがある。「マイナークラシック」の厳密な定義はとくにないが、忘れられるべきではないにもかかわらず忘れられた作家たちの作品や、もっと高く評価されてしかるべきなのに不当に評価が低い作品を念頭におきながら書いていた。一種の判官びいきといえばそれまでだが、世の中には今も昔も不遇な作品が実際に存...

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講談社文芸文庫を救出する会64ービアズレー『美神の館』

2008.05.19 23:29 | 講談社文芸文庫を救出する会

  講義で使いたい小説なのだが、所有しているはずなのに見当たらない。こういうときには新たに購入した方が手っ取り早いので、大学からの帰途、途中にある3軒の古本チェーン店をのぞいてみた。しかし、どこにも見つからない。80年代にはかなり流通していた小説だから簡単に手に入ると思っていたが甘かったようだ。同じ作家の別の作品は大量にあったから、その小説だけいまだに人気があるということなのだろうか。だとしたらま...

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講談社文芸文庫を救出する会63ー小林多喜二『老いた体操教師/瀧子其他...

2008.05.18 23:49 | 講談社文芸文庫を救出する会

 最近よくものをなくす。キャンパスでハンコペンをなくし、仕方がないので宅急便が届いたときに使うように玄関に置いてあったハンコを持ち出して使っていたが、それもいつの間にか見当たらなくなってしまった。ものを紛失することはよくあることだが、物忘れがひどくなったこともあり、こうしていろいろなものをなくすと、それもこれも老化現象ではないかと悲しくなる。
 翌日ハンコが必要なことができたので、もちろん家のどこか...

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講談社文芸文庫を救出する会62ー尾崎秀樹『大衆文学論』

2008.05.17 00:57 | 講談社文芸文庫を救出する会

 中央線高尾駅北口から国道20号線(甲州街道)を西に数百メートルほど行ったところに両界橋という橋がある。橋下には浅川が流れ、上を中央線の鉄橋が交差するように走っているが、両界橋という名前が暗示するように、かつては刑場があったという話だし、現在でもこの橋を渡ると高尾山の聖域に入ったような気がしないでもない。
 その両界橋の袂ともいうべきところに、浅川に身を乗り出すように木造の旅館風の家がある。実際に旅...

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講談社文芸文庫を救出する会61ーアップダイク『同じ一つのドア』、『シ...

2008.05.10 02:10 | 講談社文芸文庫を救出する会

 アメリカの作家アップダイクの『同じ一つのドア』(宮本陽吉訳、新潮文庫)をいつのも古本チェーン店の105円の棚で見つけたとき、おっ、なつかしい本があると手を伸ばしたものの途中で引っ込めたのは、すでに数作購入を決めていたので次回に回そうと思ったからだ。アップダイクは現代アメリカ文学の長老でもっとも尊敬されている作家の一人で、70年代(あるいは60年代の後半か)にはかなり活発に翻訳され、海外文学好きの...

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講談社文芸文庫を救出する会60ー大庭みな子『寂兮寥兮』、中上健次『紀...

2008.05.08 23:22 | 講談社文芸文庫を救出する会

 3月の中旬、愛車ハーレー・ダビッドソンFLTRロード・グライドで3泊4日の紀伊半島ツーリングに出た。初日から春の嵐のような風雨に悩まされ難儀な旅であったが、オートバイで本州未踏ならぬ未走の地であった、三重県、和歌山県、奈良県を無事に走ることができて幸せだった。
 目的地に紀伊半島を選んだのは、未走の地であったこともあるが、和歌山県新宮市出身の小説家中上健次の小説『枯木灘』の舞台を訪れてみたかったか...

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講談社文芸文庫を救出する会59ー小栗虫太郎『完全犯罪』

2008.05.08 00:05 | 講談社文芸文庫を救出する会

 現代教養文庫(社会思想社)は大好きな文庫である。一時期の旺文社文庫もそうであったが、編集者の顔が見えるのだ。ハリウッド映画はある時期から失敗して多額の損失が出るのを恐れるばかりに、脚本も演出も複数の人間がかかわるようになったというが、そのために、出来上がった映画がいかに面白く思えても、よくよく考えてみると、どれもこれも似たような、個性のない映画になったという。同じことが文庫にもある程度言えて、大...

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講談社文芸文庫を救出する会58ーバルザック『知られざる傑作』、ラクロ...

2008.05.02 23:05 | 講談社文芸文庫を救出する会

 行きつけの床屋からの帰り、いつもの古本チェーン店に立ち寄る。雨降りの夕刻なので客の姿はわずかだ。新人アルバイト店員がベテランからレジの使い方などの指導を受けていた。
 持ち金がほとんどなかったので、バルザックの『知られざる傑作』(水野亮訳、岩波文庫)とラクロの『危険な関係』(竹村猛訳、角川文庫)2冊だけを購入する。バルザックは全集(日本語訳の全集は全集と銘打っているもののバルザックの書いた小説の一...

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講談社文芸文庫を救出する会57ー永井龍男『朝霧/青電車その他』、李恢...

2008.05.01 00:19 | 講談社文芸文庫を救出する会

 5月30日、今日は大学で新入生歓迎フェスティバルが午後行われた。天気予報でも予告されたように、気温25度以上もあろうかという夏日で、ぼく自身は運動らしい運動はしなかったにもかかわらず、かなり体力を消耗した。我がゼミは例年になく調子がよいと思われたが結果はブービー賞でエコバックを商品としてもらった。
 帰途の電車では漢詩の本を開いたが、いつの間にかぐっすり眠ってしまった。目が覚めたのは四方津駅で、電...

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講談社文芸文庫を救出する会56ークンデラ『不滅』、井上光晴『他国の死...

2008.04.29 19:30 | 講談社文芸文庫を救出する会

 昨年2月に愛車のハーレーダビッドソンFXDIを盗まれて以来、セキュリティには人一倍気を使うようになった。現在は、14ミリという極太の超硬張鋼チェーンを発注して、現在2台所有しているヤマハSRとハーレーダビッドソン、ロード・グライド(FLTR)を連結して、オートバイ泥棒に対処しているのだが、さらにもう一つロックを付けることにして、最近開店したばかりの大型オートバイ洋品店に出かけた。散々悩んだ末に購...

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講談社文芸文庫を救出する会55ーフラナリー・オコナー『賢い血』、泉鏡...

2008.04.29 01:01 | 講談社文芸文庫を救出する会

 先にアメリカのノーベル賞作家ウィリアム・フォークナーの『響きと怒り』を手に入れたことを書いたが、今度はフォークナーと同じアメリカ南部出身の女流作家フラナリー・オコナーの『賢い血』(須山静夫訳、ちくま文庫)を105円の棚で見つけた。短編小説の名手であるが、この『賢い血』は長篇小説で、ずっと昔に読んだときにはその残酷でグロテスクでユーモラスな世界に衝撃を受けた。我が国では一般にあまり知られてない作家...

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講談社文芸文庫を救出する会54ー『ドッペルゲンガー奇譚集ー死を招く影...

2008.04.28 00:15 | 講談社文芸文庫を救出する会

 文学の講義で何が一番印象に残ったかと問うと、エドガー・アラン・ポーの「ウィリアム・ウィルソン」を取り上げて、「影」、「ドッペルゲンガー」、「双子」などをテーマに話したときだと答える学生が多いのには驚く。あるいは幼い頃からマンガなどでドッペルゲンガーに馴染んでいるというようなこともあるのかも知れないが、現在の若者が抱えているある種の不安の表れではないかと思えないこともない。
 そんなことを考えていた...

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講談社文芸文庫を救出する会53ーユーゴー『レ・ミゼラブル』

2008.04.13 00:20 | 講談社文芸文庫を救出する会

 八王子市の北西部、あきる野市との境に今熊神社という由緒ある神社がある。最近ではミツバツツジの名所として知られるようになり、車や徒歩で見物客がかなり訪れる。
 今熊神社のことは名前は知っていたが、ミツバツツジのことを知ったのは偶然のことだった。2年前の春、車で近くを通りかかったときに神社の案内板を見て立ち寄ってみたら、ちょうどミツバツツジが紫色がかったピンク色の花で山の斜面を見事におおっており、しか...

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講談社文芸文庫を救出する会52ー円地文子『妖/花食い姥』、高橋たか子...

2008.04.11 02:46 | 講談社文芸文庫を救出する会

 朝から冷たい雨が降っている。いやな雨だ。テレビのニュース番組がやけに騒がしいと思ったら、国分寺駅の変電所が火災で中央線が運休しているという。今日から大学は新学期の最初の授業が始まるが、教員が姿を現さなかった教室がいくつもあったにちがいない。車の運転をしない人は大変だ。
 午後3時過ぎ、車の12ヶ月点検をしてもらうために立川に行く。同じ自動車会社の営業所はすぐ近所にあるのにがわざわざ立川まで行くのは...

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講談社文芸文庫を救出する会51ー野間宏『わが塔はそこに立つ』、リラダ...

2008.04.08 22:10 | 講談社文芸文庫を救出する会

 爆弾低気圧というのだろうか、朝から風雨が強いので車で大学に出かけた。花に嵐というが、これでは花もたまったものではないだろう。
 予定の時間よりも早く大学に着きそうなので途中にある古本屋のチェーン店に寄ることにした。職場の比較的近くにあるものの徒歩では厳しい距離であるものだから、なかなか立ち寄る機会がない店だ。もう一軒、同じチェーン店が20号線沿いにあり、こちらは帰途に立ち寄った。
 先に書いたように...

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講談社文芸文庫を救出する会50ーフォークナー『響きと怒り』

2008.04.05 23:20 | 講談社文芸文庫を救出する会

 午前中に入学式と保護者説明会に出席し、午後1時の電車で帰途についた。高尾に到着したのは3時前で、時間も早かったので高尾駅前の文雅堂に立ち寄る。
 早速文庫本の棚で見つけたのがフォークナーの『響きと怒り』(高橋正雄訳、講談社文庫)で、900円という値段がついていたが、先日同じ作者の『サンクチュアリー』を買ったばかりだったこともあり、500頁以上あるこの文庫も購入することにした。それにしても、3,40...

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講談社文芸文庫を救出する会49ー広瀬正『マイナス・ゼロ』、安岡章太郎...

2008.04.03 00:37 | 講談社文芸文庫を救出する会

 2年生のオリエンテーションで総合基礎科目について話すことになりオートバイで大学に行き、午前中ですべて用事も済んだのでツーリングを楽しむことにした。とくに目指す場所もなく、漫然と国道20号線を久しぶりに韮崎方面に走り、途中、武川村の南アルプスが眼前に聳える絶景ポイントで持参の弁当を食べ、また20号線をさらに西に向かって走る。甲府から茅野方面へは他に大好きなルートがあるので国道20号線を走ることはめ...

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講談社文芸文庫を救出する会48ー創元社版坂口安吾全集、室生犀星『宿な...

2008.04.02 01:10 | 講談社文芸文庫を救出する会

 高尾駅前の文雅堂に古い創元社版の坂口安吾全集(全8巻)が3千円で出ていた。値札に書き込みありとあったのでどうしようかと迷ったが、店主とチェックしたらとくに書き込みのようなものは見つからなかったので購入することにした。安吾は他の版でも所有しているので購入の必要はなかったのだが、古い全集のにおいがたまらなく愛おしくなり、また、息子にプレゼントしてもよいと思ったのだ。安吾のエネルギーを息子に感じてほし...

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講談社文芸文庫を救出する会47ー稲垣足穂

2008.03.26 00:50 | 講談社文芸文庫を救出する会

 すでにさまざまな版で所有しているにもかかわらず、見つけると買ってしまう作家の本がある。稲垣足穂などはまさにそのような作家の代表で、今回も河出文庫版が100円で売り出されていたこともあり9冊も買ってしまった。『A感覚とV感覚』は先日も一冊購入したばかりだ。

 『弥勒』
 『ヴァニラとマニラ』
 『宇宙論入門』
 『天体嗜好症』
 『A感覚とV感覚』
 『南方熊楠児談義』
 『ヰタ・マキニカリス I』
 『ヰタ・マ...

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講談社文芸文庫を救出する会46ー高見順『如何なる星の下に』、堀田善衛...

2008.03.26 00:08 | 講談社文芸文庫を救出する会

 会議が予想よりも早く終ったので甲府から甲州街道を上り、大月インター入口の古本チェーン店に久しぶりに立ち寄り、105円の文庫本を14冊買った。

 鏑木清方『随筆集明治の東京』(岩波文庫)
 森田草平『煤煙』(同)
 『枕草子』(同)
 高見順『如何なる星の下に』(新潮文庫)
 島崎藤村『嵐・ある女の生涯』(同)
 湯川豊『イワナの夏』(ちくま文庫)
 ジョルジュ・バタイユ/酒井健訳『ランスの大聖堂』(同)
 サン...

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講談社文芸文庫を救出する会45ー木下順二『私の「マクベス」』

2008.02.17 02:16 | 講談社文芸文庫を救出する会

 居間の蛍光灯が切れて本も読めないので近くのスーパーに買いに行ったついでに古本のチェーン店をのぞいたのだが、105円の岩波文庫に新顔、仏教の本などが並んでいたのでもしやと端からチェックしてゆくと、はたして3日前には見かけなかった文庫が目立つではないか。まるで波風の立たない凪の状態が何日も何日も続き不漁に苦しんでいると、ある日急に潮目が変りあたりがあるから面白い。だから、古本屋通いはやめられない。
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講談社文芸文庫を救出する会44ー和辻哲郎『孔子』

2008.02.17 02:10 | 講談社文芸文庫を救出する会

 ブログのエッセイを更新するのはほんとうに久しぶりだ。書かなかった理由、もしくは書けなかった理由は多々あるが、講談社文芸文庫の安売りに出くわすことがある時からパッタリなくなってしまったことが大きい。加えて、文芸文庫ばかりか、他の文庫本でも目ぼしいものが見つからなくなったのである。まさかこのエッセイの影響でめぼしいものが先にさらわれてしまったのではないとふと思ったが(もちろんそんなことがあるわけがな...

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講談社文芸文庫を救出する会43ー吉行淳之介『娼婦の部屋・不意の出来事...

2007.10.26 01:06 | 講談社文芸文庫を救出する会

 風邪がぬけないし、疲労がたまっているので、木曜日は天気さえよければツーリングに行くのだが、今日は家でじっとしているつもりだった。しかし、午後仕事に行くという家人を駅まで送り、ついでに買物などすまそうとあちこち動き回っているうちに、ついつい古本屋で長時間過してしまい、結局帰宅は夕刻になってしまった。
 最初に立ち寄った古本屋は、以前はもう少しまともな古本屋であったが、現在はほとんど漫画と文庫本だけに...

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講談社文芸文庫を救出する会42ー田村隆一『ぼくの憂き世風呂』

2007.10.25 10:48 | 講談社文芸文庫を救出する会

 仕事帰り、高尾駅に着いたのは7時40分。42分のバスには乗れず、次の8時5分のバスまで20分ほど時間がある。駅前の本屋をのぞくか、古本屋をのぞくか迷ったが、文雅堂で時間をつぶすことにした。
 最近、遅い時間に行くと客が入っていないことがある。寒くなってきたからだろうか。客筋は年配の人がおおいから、天候にも大きく左右されるのだろう。景気はどうですかというようなことを聞くと、「今日は最悪でした」と店主...

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講談社文芸文庫を救出する会41ーチェーホフ『たいくつな話/浮気な女』

2007.10.21 02:47 | 講談社文芸文庫を救出する会

 実家に行くのでつき合ってくれと家人にいわれたので、久しぶりに夕刻の下北沢駅に下りた。狭い駅前はいつものように雑踏していて、若者たちの熱気に満ちている。しかし、一方で、何かしら違和感を覚えたのは、こちらが浦島太郎のようなものだったからだろうが、かつて下北沢にあった独特のローカル色、独特のにおいのようなものが希薄になっていたからだろう。もちろん、一度狭い路地の奥などに迷い込めば、昔ながらのなつかしい...

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講談社文芸文庫を救出する会40ー長谷川四郎『鶴』、川崎長太郎『抹香町...

2007.10.14 04:35 | 講談社文芸文庫を救出する会

 当ブログのコラム「講談社文芸文庫を救出する会35」で、高尾駅南口の古本屋文雅堂において、宇都宮貞子の『春の草木』、『夏の草木』、『秋の草木』、『冬の草木』の4冊が揃っているのを見つけたが、手元不如意だったので、今の季節に読みたい『秋の草木』だけ購入し、残りの3冊は取り除けておいてもらった次第を書いた。その後、昼食代などを節約して(学生時代は食べなかったが現在は弁当を持って行くことにしている)、よ...

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講談社文芸文庫を救出する会39ー『つゆのあとさき』、『すみだ川・新橋...

2007.10.04 01:40 | 講談社文芸文庫を救出する会

 いつも通勤に利用する高尾発中央本線下り各駅停車の、いつもの座席にすわると、先日買ったばかりの江藤淳『荷風散策ー紅茶のあとさき』(新潮文庫)を開いた。曇り日なので車窓からさし込む光がやわらかい。眼の端を緑の風景が流れていく。緑が少しくすんで見えるのは今夏の猛暑に痛めつけられたからだろうか。電車のリズミカルな振動が心地よい。楽しい読書になりそうだ。
 しかし、『荷風散策』を2,3頁読んだところで、ふと...

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講談社文芸文庫を救出する会38ー志村ふくみ『一色一生』

2007.09.30 17:24 | 講談社文芸文庫を救出する会

 朝から雨である。昼近くの天気予報では、東京の気温は15度で、11月下旬の気候だという。猫たちも動きが不活発で、ソファの上などでじっと目をつぶっている。今秋初めて長袖を来た。
 午後2時過ぎ、仕事にも飽いたので外出することにした。休日の午後がいつもそうであるように街は車が多い。雨降りだからなおさらだ。小比企高原に向かう。
 小比企高原には人っ子一人いない。いつもは農作業などをしている人が必ずいるのだが...

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講談社文芸文庫を救出する会37ー江藤淳『荷風散策ー紅茶のあとさき』

2007.09.29 17:21 | 講談社文芸文庫を救出する会

 昨日の残暑が嘘のような、雨模様の涼しい日である。昨夜の天気予報では10度はちがうでしょうということだったが、一気に長袖のシャツが恋しい季節になってしまった。しかし、このところの残暑が異常だったのであって、これがまっとうな初秋の気候なのだ。
 午前11時前、車で家人をある場所まで送ったが、1時間後にはまた別の場所に移動しなければならないというので、どこかで時間をつぶし、また送り迎えをすることにした。
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講談社文芸文庫を救出する会36ー仁木悦子『赤い猫』、『銅の魚』、『一...

2007.09.28 18:57 | 講談社文芸文庫を救出する会

 用事で狛江市に行った帰りに、調布インターから中央高速にのると、ほぼ真正面に夕陽が沈もうとしていた。夕陽に向かって走るというのは、不安や憧れの気持ちをともなった何とも不思議な高揚感があるものだが、敢えてゆっくり走った。「中央フリーウェイ」の夕景を満喫したかったからである。
 八王子インターで高速を下りて国道16号線に合流したときには、車はみなライトを点けていた。夕刻の本格的な渋滞にはまだ少し早いよう...

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講談社文芸文庫を救出する会35ー宇都宮貞子『秋の草木』

2007.09.27 18:24 | 講談社文芸文庫を救出する会

 後期最初の教授会が終了し、5時36分の上り各駅停車高尾行で帰途につく。夏休み前ならば、30分ほど遅い時刻の電車に乗っても、車窓には眩しい西日に照らされた風景が塩山ぐらいまで続くが、今日はもう景色は薄暗く沈んでいる。
 新学期が始まって2日目、さすがに疲労を覚えて本を開く気にもなれない。iPodに入れた最近お気に入りのアイルランドの女性歌手ニーブ・パーソンズの名唱をイアホンで聴きながらしばしぼんやり...

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講談社文芸文庫を救出する会34ー鈴木三重吉『千鳥』

2007.09.22 15:10 | 講談社文芸文庫を救出する会

 土曜日の朝9時半家人を職場に車で送り、帰途、家電の量販店に立ち寄った。買物の予定がないこともなかったが、近くの古本のチェーン店をのぞくために駐車場を利用させてもらったのである。
 店には一番乗りだった。例によって文庫本の棚を端からチェックしていると、車椅子が105円の文庫本の通路をやってきた。70歳前後の老夫婦で、奥さんの方が体が不自由で、旦那のほうが車椅子を押している。見ていると、奥さんが指さす...

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講談社文芸文庫を救出する会33ー武田泰淳『森と湖のまつり』、『司馬遷...

2007.09.19 18:27 | 講談社文芸文庫を救出する会

 本を買うのはもちろん自分が読みたいからだが、家族を念頭において買うことも結構多い。家族に読ませたいから買うというのではない。いくら家族だからとはいえ、そして世間的に見ればぼくが一応家長という立場にいるからといって、家族の意向も何も無視して、勝手に本を選び、勝手に読書を強いるなどはやってはならないことだし、愚の骨頂だ。選挙だって、それぞれが好きな人に一票を投じることにしているのだから、ましてや読書...

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講談社文芸文庫を救出する会32ー庄野潤三『せきれい』、室生犀星『随筆...

2007.09.19 13:38 | 講談社文芸文庫を救出する会

 まだ夏季休暇中だが、再試験の監督業務があり大学に行くことになった。好天だったこともあり、また、他所にも寄る用事があったのでオートバイで出かけたが、お陰で石和や大学の比較的近くにある古本チェーン店に立ち寄ることができた。文学の講義で学生たちに常日頃「読め!読め!」と勧めている以上、学生たちが立ち寄るであろう店を一度チェックしておく必要もあった。余計なお世話と言われそうだが、「その小説ならば、あの本...

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講談社文芸文庫を救出する会31ー清河八郎『西遊草』、高群逸枝『娘巡礼...

2007.09.15 23:59 | 講談社文芸文庫を救出する会

 8月の中旬、高尾の古書店文雅堂に立ち寄った折に、欲しい岩波文庫が2冊見つかった。2冊合わせて2千円ほどだったが、常日ごろ大金を持ち歩く習慣があまりないので(ものは言いようである)、月末に取りに来るから取りのけておいて下さいと、すっかり顔見知りになった店番の青年に頼んだ。青年はいいですよと快く言ってくれて、ぼくの名前と電話番号を書いた紙を挟むと、2冊を奥の書庫に置きにいった。
 2冊とも夏休みのよう...

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講談社文芸文庫を救出する会30ー佐藤春夫『美の世界/愛の世界』、深澤...

2007.09.11 23:13 | 講談社文芸文庫を救出する会

 車などの運転をしていて、シャッターの下りた古本屋を見かけると悲しくなる。こんなご時世だから、シャッターの下りているのは何も古本屋ばかりではないが、あってもなくてもよいもの、しかし、だからこそ人にとって大切なものが消えていくというのは切ないものだ。
 ぼくが住んでいる町でも指折り数えればもう数件の古本屋が店じまいをしただろうか。かつては休日の午後など自転車で古本屋巡りをよくしたもので、どことどこの古...

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講談社文芸文庫を救出する会29ー『中山義秀集』

2007.09.05 11:01 | 講談社文芸文庫を救出する会

 日本ペンクラブのサイトから中山義秀の「碑」をダウンロードしてザウルスで読んだ。聞きしに勝る傑作である。幕末から明治に変ろうとする動乱の時代を背景に、ある藩の2人の兄弟の対照的な生き方、運命の変転を描いた歴史小説だが、多くの歴史小説がそうであるように、作者の思想、もっと簡単な言葉で言えば、作者の人となりが主人公に血肉化されている。
 「碑」にえらく感動したので古本のチェーン店に中山義秀の小説を探しに...

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講談社文芸文庫を救出する会28ー上田三四二の『この世この生』、折口信...

2007.08.31 23:13 | 講談社文芸文庫を救出する会

 夏枯れなのか最近なかなか期待通りの釣果があがらなかった。しかし、まさに釣と同じで、釣れるときもあれば釣れないときもあるわけで、ここで諦めてしまってはほんとうの釣り師にはなれないだろう。だいぶ前に広島の衣笠選手が連続出場試合数の新記録を出したときに、皮肉な評論家(元野球選手の評論家ではない)が、衣笠選手は誰よりも退屈な時間を堪えただけだと書いていたけれども、たしかに野球というスポーツの場合、守備に...

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講談社文芸文庫を救出する会27ー坂口安吾『日本文化私観』、永井荷風『...

2007.08.20 10:53 | 講談社文芸文庫を救出する会

 2日前の金曜日、用事で外出したついでに八王子市片倉にある古本屋チェーン店に立ち寄った。この店は八王子市内に数店ある店の中でもたぶんもっとも古い店で、ぼくがこのチェーン店を利用したのもこの片倉店が最初だったように思う。もうだいぶ前のことだが、朝日新聞の多摩版でこの店が紹介されていて、近所の子どもたちなどが立ち読み自由の店内で気軽に休日を過している云々ともあったから、実際に、このチェーン店の中でも古...

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講談社文芸文庫を救出する会26ーサローヤン『我が名はアラム』、河盛好...

2007.08.11 22:38 | 講談社文芸文庫を救出する会

 8月11日、兵庫は38度を越える猛暑だったとか。インドでは、鳥は卵を温めているのではなくて、冷やしているのだと聞いたことがあるが、このように暑くては、生物の恒常性(ホメオスタシス [homeostasis])も、この場合はとくに体温調節と限定してもよいが、限界を超えて壊れてしまうにちがいない。来年、この時期に北京オリンピックが開催されているわけだが、北京の夏は暑いというし、選手が気の毒だ。
 ホメ...

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講談社文芸文庫を救出する会25ー柄谷行人『内省と遡行』、レヴィ=スト...

2007.08.03 23:39 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 午前10時半、家にいても暑くて仕事にならないので久しぶりに床屋に行く。店主がいつものようにお久しぶりですね、この前は4月20日でしたよと顧客名簿のようなものを見ていう。大学生ぐらいまで手先の器用な父親に散髪をしてもらっていたからだろう、今でも床屋には苦手意識があって、2ヶ月に一度、3ヶ月に一度の頻度である。髪の毛がのび過ぎて鬱陶しくなって初めて床屋のことを思い出すのだ。
 高校1年のときに長髪だと...

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講談社文芸文庫を救出する会24ー長谷川四郎『シベリア物語』

2007.07.31 12:29 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 研究室で学生を待っているのだがなかなか姿を現さない。暇を持て余して、雑然と並んだ文庫本の中に講談社文芸文庫があるかどうか探してみたら3冊見つかった。『戦後短篇小説再発見1-青春の光と影』、『戦後短篇小説再発見3-さまざまな恋愛』、長谷川四郎『シベリア物語』である。もう1冊、『戦後短篇小説再発見5-生と死の光景』もあるはずだが、どこかにまぎれこんで見つからない。『生と死の光景』の中には今年亡くなっ...

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講談社文芸文庫を救出する会23ー福原麟太郎『天才について』、川端康成...

2007.07.29 23:00 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 ひんぱんに近くの古本のチェーン店に通い、105円の文庫本の棚を端から端まで眺めていると、いつも必ず目につく本が何冊もある。それらの文庫本は、買うわけではないけれども、何度も目にしているうちに、端から何番目の棚の何段目にあるか自然に憶えてしまい、一種の里程標のような役目を果たすことになる。ただし、この里程標はときどき移動することがあり、とくに大きく移動したときが、こちらにとってはねらい目なのである...

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講談社文芸文庫を救出する会22ーセリーヌ『夜の果ての旅』

2007.07.25 00:28 | 講談社文芸文庫を救出する会

 大学からの帰途、高尾駅に着くとバスの待ち時間が20分以上あるので文雅堂へ立寄った。顔なじみになった店の青年と挨拶を交わす。時間はさほどないので文庫本の棚に絞って本を漁る。すぐに生田耕作訳のセリーヌ『夜の果ての旅』(中公文庫、上下)が目に留まる。値段を見ると、2冊で600円とある。この本も実家の書庫に死蔵してあるが買うことにした。というのも、過日、息子に同じ作者の『なしくずしの死』(河出文庫)を奨...

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講談社文芸文庫を救出する会21ー夢野久作『犬神博士』、古山高麗雄『小...

2007.07.23 00:42 | 講談社文芸文庫を救出する会

 今日は八王子市を貫流する浅川の土手を1時間ほどかけて写真を撮りながら歩いて、市のダウンタウンにある佐藤書房に久しぶりに立寄ってみた。佐藤書房はもう20年以上も通っている古本屋で、最近はだいぶ無沙汰気味だが、一時期はほとんど入り浸っていた。愛書家やコレクター好みの古書が並んでいることもあるが、店を経営している3人の兄弟やその両親など、店の人たちがみなひどく気さくなものだから、書架の間が狭く雑然とし...

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講談社文芸文庫を救出する会20ー廣川洋一『ソクラテス以前の哲学者』、...

2007.07.14 22:01 | 講談社文芸文庫を救出する会

 ときどき尻がうずうずするというか、何かやり残したことがあるような気がして、時計を見るともう深夜に近い時間だというのに出かけることがある。今日も今日とて、もう午後11時になるというのに、急に落ち着かなくなり、ちょっと出かけてくるよと家人に言って車で出かけた。いつものことなので家人も「行ってらっしゃい」と言うだけで、行き先をたずねようともしない。
 がらんとしたいつもの古本のチェーン店に入ると、翌日か...

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直良信夫著『峠と人生』ー旅行記・紀行文の愉しみ02

2007.07.13 00:22 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 数日前に高尾の文雅堂で直良信夫著『峠と人生』(NHKブックス)を手にとってみたのはタイトルにひかれたからだ。オートバイツーリングを楽しむようになって以来、どこに行っても大小さまざまな峠に出くわすので、あらためて日本は峠の国だと思い知らされた。昔の日本人にとって、峠はよくも悪くも生活の一部だったのだろう。別の言い方をすれば、人生の障壁でもあり展望でもあったのではないか。峠は、人びとを遠ざけもすれば...

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講談社文芸文庫を救出する会19ー梶山季之『李朝残影』、小川国夫『彼の...

2007.07.07 16:26 | 講談社文芸文庫を救出する会

 7月6日金曜日は、前日の天気予報によれば雨であったが、雨の降る様子はなく、蒸し暑い1日になった。午前中は家でごろごろしていたが、医者から運動を勧められていることもあり、午後1時過ぎカメラを2台もって家を出た。漠然と涼しいところに行こうと、高尾山北側、いわゆる裏高尾を目的地に選んだが、歩き出してすぐに後悔した。夏の散歩はやはり早朝か夕方かにすべきなのだ。結局道半ば、高尾山の冷たく美味しい湧き水が飲...

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講談社文芸文庫を救出する会18ー寺山修司『あゝ、荒野』

2007.07.06 01:59 | 講談社文芸文庫を救出する会

 普通午前中に某古本屋チェーン店に立寄ることはめったにない。しかし、今朝は特別で、洗濯屋に大量の洗濯物を持ち込んだら、その処理にけっこう時間がかかるというので、後でまた来ることにして、チェーン店をのぞくことにしたのである。
 文芸文庫は見つからなかったが、寺山修司唯一の長編小説だという『あゝ、荒野』(河出文庫)、漫画家つげ義春の夫人である藤原マキの『私の絵日記』(学研M文庫)、旺文社文庫版『枕草子』...

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講談社文芸文庫を救出する会17ー森銑三『近世人物夜話』、串田孫一『物...

2007.07.03 21:28 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 昨日キャンパスであった卒業生(現在は大学院を目指しており講義を聴講に来ているようだ)が、先生のブログを読んで自分も講談社文芸文庫を探してみたがありませんでしたという。たとえ1人でもこのような奇特な読者がいればブロガー冥利に尽きるというものだが、仮にこの卒業生のような読者が多数いて、やはりどうしたってありえないことではあるけれども、彼らが甲府の古本チェーン店で講談社文芸文庫をすでに買い漁った後だっ...

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講談社文芸文庫を救出する会16ー萩原葉子『蕁麻の家』

2007.07.01 00:49 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 墨を吸ったような色の雲が西の空で不穏な動きを見せていたが、午後3時過ぎ、体を少し動かそうとカメラを2台下げて小比企高原へ車で向かった。最近は1週間に一度というわけにはいかないけれども、2週間に一度は歩くので風景はすっかり見慣れたものになっているが、季節の変化やそのときどきの天候による光の加減などのよって必ず何かしら新しい発見がある。小比企高原を発見し通い始めてもう1年近くになるが、その間に撮りた...

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講談社文芸文庫を救出する会15ー、埴谷雄高『死霊』、上田三四二『花衣...

2007.06.12 00:36 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 最後に講談社文芸文庫を救出してから1ヶ月半ほど経過するが不漁が続いている。こういうことはよくあることで、実際の漁とはちがって生活に困るわけではないから、辛抱強く潮が変るのを待つだけである。しかし、何も成果がなく空手で帰るのもむなしいものだ。まさかぼくが買い尽くしたというわけではないだろうけれども、講談社文芸文庫に限らず、全体的に目ぼしいものが少なくなっているような気がする。
 不漁が続いている上に...

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講談社文芸文庫を救出する会14ー吉村昭の『戦艦武蔵』

2007.04.28 03:23 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 毎週木曜日もしくは金曜日は、天気さえよければ、オートバイ・ツーリングの日と決めている。平日ということで幹線道路を除けば道路はたいていどこもがらがらだし、景勝地も温泉も名物の食べ物屋もひっそりとしている。木曜日か金曜日に思い切り遊ぶ分、土日に仕事や授業の準備をしなければならないが、まあ、楽しみの後に苦しみがあるのが世の常だ。
 4月27日の金曜日、翌日からゴールデンウィークの連休が始まろうという日、...

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講談社文芸文庫を救出する会13ー『神楽坂/茶粥の記ー矢田津世子作品集...

2007.04.18 21:57 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 最近救出した文芸文庫は『神楽坂/茶粥の記ー矢田津世子作品集』である。実は、4月の初旬にいつもの古本のチェーン店で購入してあったのだが、新学期の多忙にまぎれて救出報告を怠っていた。
 矢田津世子という閨秀作家については、この文庫を手にするまで、ほとんど知るところがなかった。年譜によれば、1907年(明治40年)秋田県生まれ、30年23歳のときに「文学時代」の懸賞小説に当選して文壇にデビュー、36年に...

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講談社文芸文庫を救出する会12ー大江健三郎『万延元年のフットボール』

2007.04.18 02:24 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 今日3月26日は春らしいいい陽気だった。午後散歩しているともう半袖でもよいくらいで、人家の庭先には色とりどりの花が咲き、川原の土手の桜も一気に開花しそうな勢いだった。
 夕食前に買い物がてら車で古本屋のチェーン店へ。iPodでアイルランドの歌姫シネード・オコナーのすばらしい歌声を聞きながら本を漁る。店内に流れる有線の音楽がどうにもたえがたく、また、店員たちの機械的な「いらっしゃいませ」のくりかえし...

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講談社文芸文庫を救出する会11ー白州正子『かくれ里』

2007.04.18 01:51 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 午後9時過ぎ、遅い夕食をすませてテレビで映画を観ていたが、猫の缶詰が1缶しか残っていないことを思い出し落ち着かなくなった。冷蔵庫が空っぽでわれわれの食料がなくとも不安を覚えることはないけれども、猫たちの食料が尽きかけるともうダメだ。猫たちの哀れっぽい鳴き声が幻聴のように聞こえてくる。どうにもいたたまれなくなり、おもしろそうな映画だったが、深夜0時までオープンしているスーパーまで買い出しに行くこと...

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講談社文芸文庫を救出する会10ー和田芳恵『暗い流れ』、梶山秀之『せど...

2007.04.18 01:48 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 時刻は午後4時半になろうとしていたが、散歩写真に出かけることにした。場所はいつもの小比企高原(何度も書くが地名としての小比企高原はない、八王子市の南部の小比企町にある10ヘクタールの野菜生産団地を勝手に高原と呼んでいるのだ)である。ここ数日の寒の戻りは身にこたえるが、春の彼岸も近くなり、だいぶ日脚は長くなった。半時ほど歩いていたら、ちょうど真西にある高尾山に陽が沈んでいった。
 トイレを借りたいこ...

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講談社文芸文庫を救出する会09ー小島信夫『抱擁家族』

2007.04.18 01:47 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 今日3月12日は強風が吹きつのった。暖かい日が続いていたので身が切られるように冷たく感じられた。ニュースによれば、北国では大雪が降り、冬がもどったようだという。桜の開花はその冬の平均気温がもっとも低い日から数えるのだというが、これでまた少し先に延びることになるのだろうか。
 今日救うことができたのは昨年亡くなった小島信夫の『抱擁家族』。『抱擁家族』を救うことができたとは皮肉な、誤解されかねない言い...

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講談社文芸文庫を救出する会08ー吉行淳之介『星と月は天の穴』

2007.04.18 01:45 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 朝、ベランダを見ると、薄紫のクロッカスの花びらが逆光に美しくすけていた。早速カメラのレンズを向けると、花びらに蜂らしい虫の影が映っている。真上から花をのぞくと果たして小さな蜂で、何と全身が黄金色の花粉にまみれているではないか。花粉はあるいは虫を酔わせるのかもしれない。蜂は一心不乱、まるで酔い痴れたように、花心にもぐりこんでは、さらに花粉を体になすりつける。そして、ときどき陶然としているかのように...

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講談社文芸文庫を救出する会07ー岩野泡鳴『耽溺/毒薬を飲む女』、川端...

2007.04.18 01:43 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 3月3日牧丘のはやぶさ温泉へ行く。温泉にゆっくりつかり、泉水を購入して帰途についたが、時間も早かったので、高速は利用せずに甲州街道を走った。笹子川には渓流釣りを楽しむ人たちの姿がどきどき枯れた葦の間に見られた。
 甲州街道を走るのはいつも楽しいが、1時間もすると運転にも倦み疲れた。どこかで休憩しようと思っていると、大月インター入口にある某古本屋チェーンが目に入る。休憩がてら本を漁ることにした。最近...

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講談社文芸文庫を救出する会06ー安部公房『カンガルー・ノート』、椎名...

2007.04.18 01:42 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 家人を職場に送ったついでに普段あまり行かない某古本屋チェーン店をのぞいたら、105円の棚に遠藤周作の『哀歌』があった。今日救出できた文芸文庫はこの1冊だけ。他に購入したのは、安部公房『カンガルー・ノート』(新潮文庫)と椎名麟三『永遠なる序章』(新潮文庫)である。
 遠藤周作も安部公房も椎名麟三もみなもっと読まれてもよい作家である。とりわけ椎名麟三が読まれていないのではないかと思うと悲しい。「日本の...

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講談社文芸文庫を救出する会05ー石川淳『白描』、上田三四二『短歌一生...

2007.04.18 01:40 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 3日前と同じく、散歩写真の帰途、某古本屋チェーンに立寄る。今日は気まぐれにも、いつもと逆の順序で棚を見ることにした。つまり、いつもはクラシックの棚、写真雑誌の棚、105円の文庫本の棚という順序に回るのだが、それを逆に回ったということである。しかも、105円の文庫本の棚は、著者名の「あ」からではなく、「わ」から逆に見るという念のいれようである。なぜこのようなことをしたかと言えば、探偵小説『ブラウン...

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講談社文芸文庫を救出する会04ー大岡昇平『愛について』、清岡卓行『ア...

2007.04.18 01:37 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 2月14日は、九州地方などでは春一番が吹いたというニュースがあったが、関東地方も春の嵐のような不安定な天気であった。かなり激しい雨も降った。
 午後、大量の採点に倦み疲れたので、小雨の降る中、気分転換にカメラを持って外出した。いつものように車で小比企高原(ほんとうの高原ではないが広々とした場所なので高原と勝手に名づけている)に行き、適当な場所に車を乗り捨てると、カメラで風景や野草などを撮影しながら...

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講談社文芸文庫を救出する会03ーアダム・フィッシャー指揮「ハイドン・...

2007.04.10 15:27 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 講談社文芸文庫を救出する会を立ち上げた背景にはどうやら某古本屋チェーンに対する一種アンビバレントな感情があるようだ。文芸文庫が105円で他の10円程度の文庫と同等に扱われて売られていることに対する義憤と、それとは相反する、よくぞやってくれたという称讃の気持ちとがないまぜになっているのではないか。というのも、ぼくがもっとも旺盛に本を読み、もっとも旺盛に本を買っていたのは、70年代の後半から80年代...

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講談社文芸文庫を救出する会02

2007.04.09 23:58 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 講談社文芸文庫を救出する会を一人で立ち上げてから2年ぐらい経つかもしれない。その間、かなりの数の文芸文庫を救い出したが、よく考えてみれば、いや、よく考えなくとも、救いにはまったくなっていないのだった。105円というのは作品の価値からいったらいかにも安過ぎるのではないかと義憤を感じたのが会設立の動機であったが、やはりこちらも105円で買っているわけだから、本の価値にふさわしい金額を払っているのでは...

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講談社文芸文庫を救出する会01ー幸田文の『ちぎれ雲』、『包む』、『番...

2007.04.09 23:55 | 講談社文芸文庫を救出する会 | 投稿者:大神田

 講談社文芸文庫を救出する会を一人で立ち上げている。どこから救出するかといえば、某古本屋チェーン店からで、何とわが家の近くのチェーン店ではときどき文芸文庫が105円の棚にさらしものになっているのだ。講談社文芸文庫は、文学好きの人間ならば誰でも知っていることだが、名作の宝庫である。作家の好き嫌いはあっても、これだけ粒よりの文庫は他にない。ぼくの友人の作家は他の本は売り払って自分の本棚には文芸文庫全点...

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