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鈴木 優典

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刑法担当。趣味は山歩きと写真。着任して以来増加の一途をたどった体重をさすがに気にして目下ダイエット中…だけど,増えたり減ったりが続く日々。少し減ったおかげで一時着られなくなったスーツが着られるようになったり…やっぱり,酒を慎んで,運動しろってことで^^;
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雑談をちょいちょい,勉強の話はちょっとだけ。

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(注意・16年の山行です!)遠い遠いトムラウシ山(7)

2017.06.24 00:21 | 日々々々山を想う | 投稿者:鈴木優典

(6)から続く


 天気が悪いので頂上から早々に下ります。
 下り始めて100mばかりのところで,いや,30mばかりのところで問題発生です。右足のふくらはぎ……痛いです。
……痛いです。
……痛いです。
……鈍痛です。


 そう白雲岳の手前で転んだときのアレです。

 頂上で休んでいないので休憩しました。休憩するふりをしました。どうしたもんかと思いましたが,どうにもならんので落ち着いてから右足をかばいながら南沼幕営地まで下ります。

 

 南沼幕営地まで高低差-170mを40分弱……あとで見てみたらコースタイム20分です。

 とりあえず,腰を下ろしてここで幕営するか考えます。今回のルートで幕営地(テントを張れる場所……テントは基本的に認められた場所以外で張ってはいけません)は,黒岳石室,白雲岳避難小屋,忠別岳避難小屋,ヒサゴ沼避難小屋……,そしてここ南沼幕営地だけです。ここを出発してしまえば,幕営地はないので下りきるのが基本です。

……天気は良くなる見込みなし,頂上であった他の登山客から聞いた話だと夕方から天気が崩れるとのこと。入山前に確認した天気予報でも,明日以降は雨でした。

 

「足は痛いが,この時点でまだ12時40分。この南沼幕営地からトムラウシ温泉東大雪荘まで標準時間が5時間20分。ここでテントを張っても明日は雨の中の下山になる可能性大(実際は夕方まで降りませんでした)……他方,下山すれば真っ暗になる前には何とかなるだろう。であれば,多少無理をしても下山した方がいい。」

 

 結果的にはどちらでもよかったのですが,初めてのルートということもあり,かなり難渋しました。要するにこの読みはかなり甘かったといわざるを得ません。

 

 頂上から右足をかばいながら50分ばかりかけて高低差200mを下って,トムラウシ公園に到着です。

 天気がよければトムラウシ山の頂上がみえるのでしょうが,今日は頂上は見えないものの,ハイマツの中に灌木が生えていて,ところどころ塔のように岩が突き出している。「トムラウシ公園」と呼ばれるだけあってとても美しい風景です。

 

 ここから少し登り返しますが……背中のザックの重みがこたえます。

 

 さらに40分ほどかかって前トム平です。緩やかな下りだったせいもあって,足の調子は少し上向きです。天気は良くなる見込みもなく,視界は悪くなるばかりです。

 

 ここから樹林帯に向かって下ります。結構深いです。

 間ノ岳と農取岳を経由して大門沢降下点に立ったときの気分になりました。

 下りはキツイし,距離は長いし……今回はそこまでは長くないはずです。

 

 下り始めてみるともちろん大門沢ほどではないですが,結構長かったです。

 ちなみに,トムラウシ山遭難事故では,この前トム平付近で3名亡くなっています。そして,ここの下山途中で幸い一命をとりとめましたが,下山を率いたガイドが意識を消失して遭難しています。すでに書いた通り,ここの地点ではすでに隊列は前後に伸びてしまい。散り散りになっていました。

 

 コマドリ沢降下点に到着。前トム平から意外と難渋しました。ペースも遅く水も消費しがち,そしてラストの給水ポイントなので,ここで給水(もちろん,浄水器を通してです)して,カロリーメイトを口に放り込み,まだしばらくある行程に備えます。

 

 少し沢沿いを歩いて,ぬかるんだつづら折りを登ります。足下は悪いし,傾斜はキツイし,視界は悪いし……なんで,こんなところをこんなに苦労して登っているんだろうと思います。下山するために選択肢がないからなんですけどね。

 

(雨が降ってきました……ここから写真ありません)

 

 登り切ってあとは下るばかり……ですが,17時過ぎ,ついに降ってきました,雨が。やむなくカッパを着,ザックにレインカバーをつけます。地図と突き合わせてみると,まだ2時間30分ばかり歩かなければならないところにいます。そう,右足をかばって歩き,かなり休みを長くとっていたので,1時間以上標準時間より遅れているのです。

 

 雨が降ってきたので,一刻も早く下山することが望まれますが,右足の痛みでペースが上げられません。そして,残りの距離を考えると下山が日没に間に合わないのも確実です。雨も降りやみそうにありません。そこで,すでに薄暗くなっていることもあり,ザックからヘッデンを取り出していつでも使えるようにします。また,GPSの電池を交換します。それから,あまりやりたくなかったのですがロキソニンを服用します。ロキソニンは強力な痛み止めです。頭痛だけでなく,外傷性の痛みにもききます。しかし,痛みを感じないようにして無理をしてしまっては症状を悪化させかねません。ですが,そんなことも言ってられません。雨と日没とどっちかだけなら,ロキソニンを服用しなかったと思います。

 

 ロキソニンの効果はすぐに出ました。痛みがなくなったわけではありませんが,とても弱くなりペースを上げて歩いても支障がないようです。

 しかし,雨は強くなるばかりで,ほとんど土砂降りといってもいいくらいです。登山道は水没してしまっています。もっとも,ずぶ濡れになっているかというとそんなことはなく,カッパはeVentの完全防水&透湿の高いものですので水が浸入することはありません(手を水平よりあげたときにビミョーに袖口から入ってきましたが)。ブーツもGORE-TEXの内張で,外張りは総革でワックスで完全シーリングしているので,こちらの浸水の心配もありません。

 

 とにもかくにもひたすら下ります。登山道は整備されているのですが,水たまりなんてレベルではなく水没しています。ですが,そんなことは気にせずにザブザブ歩いていきます。

 

 どんどん暗くなってきて短縮路分岐点に18時22分到着。暗くなっていく中,辛うじて見えていた標柱が見づらくなったのでヘッデンを点けました。短縮路入口に向かえば15分ですが,雨の中,駐車場に向かってもいいことはありません。東大雪荘に向かいます。

 

 土砂降りの雨の中,周囲は闇に包まれ,頼りになるのはヘッデンの灯りひとつです。しかも,このヘッデン(BD Spot 2014年ver.)はIPX4相当なので,飛沫程度では大丈夫ですが,土砂降りで大丈夫かは相当不安です。予備のハンドライトをもっていましたが,このヘッデンが浸水して故障してしまえば,遭難ということで良さそうです。

 

 そんな危機感もあってアドレナリンが出たのかちょっとだけペースが上がりました。

 真っ暗闇の中,登山道を照らすヘッデンと時折確認するGPSのルートと現在位置を頼りにとにかく歩きます。ヘッデンが登山道の前に雨を照らす中,カッパから湧き上げる湯気も照らしていました。

 

 GPSではもう間もなく公道にでるというところで滑って転びました。

 傾斜もキツく,雨でぬかるんで滑り,足もつかれて,転びやすい環境です。ケガをしたいわけでありませんので,いったん息をつき10分ばかり休みます(もちろん,真っ暗で土砂降りです)。

 慎重に坂を下って,まもなく公道(街路灯なんてありません)に出ました。

 

 直接,東大雪荘の駐車場にでるルートもあるはずですが登山道です。せっかく公道に出て安心したので多少時間はかかっても,道路沿いを歩いて東大雪荘に向かいます。

 

 基本的に安全圏に入っていますが,ユウトムラウシ川はゴウゴウとけたたましい音を上げて不安をかき立てます。真っ暗で水面が見えないのが余計に不安になります。その不安のせいで,別の不安を感じます。東大雪荘の予約を取っていなかったのですがこの真っ暗闇の中,ずぶ濡れの登山客がいきなりいって,泊めてくれるものか……。

 それでも,公道を歩き,橋を渡り,さらに公道を歩いて,ようやく自分以外の人口の灯り,国民宿舎 東大雪荘に到着です。

 

 東大雪荘の自動ドアをくぐったところ,宿の方が気づいて駆け寄ってきました。

 

僕:「こんな時間に非常識だとはわかっているんですけど,予約していないんですが,泊まれませんか?」

従業員の方:「部屋は空いているので大丈夫ですが,夕食が終わってしまっているのですが,いいですか?」

僕:「ありがとうございます。もちろん大丈夫です。」

 

 玄関にザックを置き,カッパを脱ぎ,ブーツを脱いでロビーに上がりました。

 下山完了。20時09分のことでした。

 

 僕の40年の人生でこのときほど「ありがたい」と思ったことはなかったかもしれません。

 

(8)に続く

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